Friday, June 12, 2009

ガースナー,ルイス Louis V. Gerstner

ガースナー,ルイス Louis V. Gerstner

ルイス・V・ガースナー
米投資会社カーライル・グループの会長。アメリカ、ニューヨーク州出身。1963年にダートマス大学を卒業。1965年にはハーバード大学ビジネス・スクールでMBAを取得し、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。その後、アメリカン・エキスプレス、RJRナビスコ会長を務めた。1993年4月、 IBMに初めての外部出身のCEOとして招かれて、2002年12月の退任までに同社の再建に貢献した。


■リーダー育成


かつてのIBMでは、学者と対等に話が出来るような人材が経営者として選抜されていた。しかし、マニュアル通りに同じようなタイプの経営幹部の育成が行われていていたために、社内の官僚主義化は進む一方だった。元々、IBMにはエグゼクティブ・リソース・プログラム(ERP)と呼ぶ全世界統一の経営幹部育成プログラムがあり、早期に人材を発掘し、最終的な経営者育成に向けて計画的に育成する仕組みがあった。


ガースナーは、これを新たに整備し、より明確なリーダーシップ・コンピテンシーを設けて選考を始めた。
企業のリーダーに求められる資質や行動規範を新たに設定し、その要件を次世代のリーダーの選抜・育成を行った。


具体的には、リーダーシップの要件を「勝利への集中」、「実行への体制作り」、「勢いの持続」、「中核」の4分野に大別した。更に、下記の11細目の評価基準を設けた。各細目について、本人・同僚・部下の三者に評価させて現状を把握。その上でライン長からあがる人事データを本社・各国事業所の人事責任者が共有しながら次世代リーダーを選考した。


1.顧客に対する洞察力
2.創造的思考力
3.目標達成への推進力
4.チームリーダーシップ
5.率直さ
6.チームワーク
7.決断力
8.組織構築力
9.コーチング能力
10.全体への貢献
11.ビジネスへの情熱


■ガースナーの手がけた改革


ガースナーは、IBMの会長就任当時、徹底的に社内の情勢を調査し、内情を把握した上で当時のIBMの問題点を、ずば抜けた基礎技術力や優秀な人材を抱えていながら、組織が硬直化・肥大化し、ダウンサイジング(小型機への需要シフト)という業界の動向に乗り遅れたことなど、以下の3点に絞って指摘した。


1.官僚主義
2.市場変化への対応の遅さ
3.高コスト構造


IBM再建に当たっては、徹底的なコストカット、非合理の改善などを行う一方で、顧客の望むプロダクトの提供(メインフレームにこだわるのではなく、サービスプロバイダーとしてのIBM)、また官僚主義に対しては社内の組織をフラット化し、チームワークを重視した考え方に基づき、社内風土の改革を徹底的に行った。

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