Wednesday, October 1, 2008

公衆無線LAN

http://members.techtarget.itmedia.co.jp/tt/members/0806/11/news01.html

エリア展開、セキュリティ面で着実に進化

外出がちな社員を多く抱える企業にとって、屋外でのアクセス手段は悩みの種。ビジネスの生産性を上げるには、格段にアクセスポイントの増えた公衆無線LANがベストだ。

[池田冬彦]

ビジネスに最適? 公衆無線LANのアドバンテージとは

 公衆無線LANの最大のアドバンテージは、何といっても通信速度だ。IEEE 802.11gのリンクアップ速度は54Mbps。実効速度は、おおむね15~20Mbpsが平均的なところだ。このスピードはモバイルアクセスとしては 最速である。なお、BBモバイルポイントはIEEE 802.11bのみで最大リンクアップ速度は12Mbps、実効速度は3~5Mbpsほどになる。

 これが、携帯電話(HSDPA ※注1)やPHS通信技術を用いてサービスを展開する、ほかのブロードバンドサービスと大きく異なるポイントだ。ウィルコムのPHSデータ通信「AIR- EDGE」では、リンクアップ速度は最大256Kbps(4xモード、パケット方式の場合)、または、800Kbps(8xモード、W-OAM typeGの場合)。イー・モバイルの「EMモバイル・ブロードバンド」でも下り最大7.2Mbps/上り最大384Kbpsで、実効速度はさらに低くな る。

※注1:HSDPA 3G携帯電話の規格である「W-CDMA」を拡張した高速通信規格。1から12までのカテゴリが規定されてお り、現在主流なものは「カテゴリ6」で、最大通信速度は下り3.6Mbps。イー・モバイルが採用する「カテゴリ8」は下り最大7.2Mbpsだが、まだ 一部の基地局しか対応していない。

ほかのモバイルアクセスサービスとの比較
接続手段 料金 通信速度 接続のしやすさ
PHSデータ通信 比較的高価(最大4xモードの定額制プランで月額8851円~) 遅い(8xモードで最大800Kbps、4xモードで最大256Kbps) 良好(全国を既存のPHS網で面展開)
携帯電話(HSDPA) やや高価(定額制プランで月額4980円~) やや速い(下り最大7.2Mbps) やや良好(全国主要エリアを面展開・拡大中)
公衆無線LAN 安価(定額制プランで月額525~1575円) 高速(最大54Mbps) 悪い(点展開のため、スポットに赴く必要がある)

 だが、公衆無線LANなら、比較的安定して高速なインフラを利用でき、しかも月額コストも安い。ホットスポットの場合、月額料金は1680円、 Mzoneでは1575円、さらにBBモバイルポイントではわずか525円(プロバイダーにYahoo! BBを選んだ場合)だ。もちろん定額制で、追加料金は発生しない。

HSDPA(EMモバイルブロードバンド)の速度と公衆無線LANの速度比較
種類 地点 平均速度(下り) 平均速度(上り)
HSDPA 都心(カテゴリ6) 2.3Mbps 359Kbps
HSDPA 都心(カテゴリ8) 3.1Mbps 360Kbps
HSDPA 郊外(カテゴリ6) 940Kbps 86Kbps
公衆無線LAN 東京都心のスポット 14.5Mbps 14.2Mbps
最大7.2Mbpsの通信が可能なHSDPAカテゴリ8対応エリアでは、下り平均3.1Mbps。ただし、電波強度が低いと1Mbpsを下回ることもある。特に上りの速度が遅く、PCからのデータ送信は遅くなる

公衆無線LANがもたらすビジネスメリット

 公衆無線LANは、モバイルアクセスの可能性を格段に広げる。ファイル共有やVoIP(Voice over IP)、大容量の添付メールなど、オフィス内で利用しているネットワークサービスのほとんどすべてが利用可能であり、「添付メールはやりとりしない」な ど、使い方を工夫したり制限を加える必要がない。ノートPCの潜在能力をフルに発揮できるのだ。具体的にどのようなメリットがあるのかを見ていこう。

  • 営業社員のパフォーマンスを改善

 1日のほとんどを社外で過ごす営業社員にとって、オフィス内のIT基盤上のワークフローに合わせるのは大変だ。日報などの書類を提出するのも、社 内の情報を仕入れるのもオフィス内のPCでしかできず、現実的に直行・直帰は不可能だ。このための移動時間や交通費は、年間の支出で考えると結構ばかにな らない。

 だが、公衆無線LANを利用すれば、出先で必要な事務処理などを完了できる。会社への移動にかかっていた時間で、もう1件得意先を回ったり、必要 な書類を作成する、あるいは今後の営業計画を作る、といった時間に充てられる。このようなメリットに加え、外出先から社内のリソースにアクセスできるメ リットも大きい。例えば、外出している間に顧客にプレゼンするためのPowerPoint資料が更新され、すぐに入手しなければいけない、といった場合も すぐに対応できる。

  • 外出がちな社員の利便性と生産性を向上

 度重なる出張で忙しく飛び回る社員にとって、モバイルアクセスは業務効率化・合理化の鍵だ。例えば、メールやグループウェアによるチームやプロ ジェクト内での情報共有は、オフィス内ではもはや当たり前だが、モバイルアクセスの手段がないと、外出先で刻々と変化する状況をフォローすることができ ず、コミュニケーションロスが発生することもしばしばだ。

 各スタッフの行動予定から会議室の空き状況、立ち寄り先の各種情報など、イントラネットで得られるすべての情報を電話で確認しながら作業しなけれ ばならない。このような問題も、出先で公衆無線LANを利用してVPN経由で社内にアクセスするだけで解決する。もちろん、社外からのメールサーバへのア クセスを禁止している企業でも、問題なくやりとりが可能だ。外出中の情報格差は解消されるはずだ。

 また、公衆無線LANでは、携帯電話/PHSのモバイルアクセスでは難しい数百Mバイトものデータ転送も可能だ。802.11gが利用できるス ポットなら、100Mバイト程度のデータもほぼ数分で転送できる。わざわざ出掛ける前に必要なファイルをノートPCにコピー、といった面倒な作業は不要に なる。

どのようなサービスがあるのか

 現在、全国的に展開しているサービスはNTTコミュニケーションズの「ホットスポット」、NTTドコモの「Mzone」、ソフトバンクテレコムが 提供する「BBモバイルポイント」だ。これらのサービスは着々とアクセスポイント数を増やし、カフェやファストフード店、駅構内などを中心に、日本全国の 主要エリアで利用できるまでに広がっている。

主要な公衆無線LANサービス

ホットスポット Mzone BBモバイルポイント
契約方法 インターネット、郵送、代理店窓口 ドコモショップ窓口のみ インターネット
初期費用 1575円(定額契約の場合のみ) なし なし
料金 1680円/月 1575円/月(FOMA利用者は840円/月) プロバイダーによって料金が異なる(Yahoo! BBの場合525円/月)
一時利用料金 500円/日 525円/月 500円/日または1000円/2週間(※ファミリーマート店頭端末でのみ購入可能)
アクセスポイント数 約4000 約5000 約3500
通信方式 IEEE 802.11b/g/a IEEE 802.11b/g/a IEEE 802.11b
セキュリティ WEP、IEEE 802.1X認証 WEP、IEEE 802.1X認証 WEPのみ
代表的な提供場所 カフェ・ファストフード店舗。東京メトロ、都営地下鉄、JR、私鉄の主要各駅。空港、ホテル、レストランなど カフェ・ファストフード店舗。東京メトロ、都営地下鉄、JR、私鉄の主要各駅。つくばエクスプレス車内、空港、ホテル、レストランなど 全国のマグドナルド、ルノアール、ドトールコーヒーなどの各店舗、主要な駅、ホテル、空港など
ローミング BBモバイルポイント(定額:819円/月、スポット利用:315円/日)、海外 BBモバイルポイント(スポット利用:315円/日)、エアポートネット(成田空港:利用料金は無料) なし

ホットスポット(NTTコミュニケーションズ提供)

 ホットスポットは、IEEE 802.1X認証(※注2)やグローバルアドレスによるVPNにも対応し、通信方式も802.11gが主流だ。北海道から沖縄までの47都道府県にアクセ スポイントがあるが、大都市・人口密集地、かつ、電車や飛行機などで移動するビジネスマンの動線に特化したエリア展開が行われている。

※注2:有線LAN/無線LANにおけるユーザー認証を一元的に行うための仕組みで、認証サーバとの連携により正規ユーザー以外は ネットワークの利用を阻止できる。また、この認証システム上で、動的な暗号鍵の交換(ダイナミックWEPとも呼ばれる)が提供され、より安全に通信でき る。

Mzone(NTTドコモ提供)

 Mzoneは、JR各社さらには東京、大阪を中心に私鉄各社との提携に力を入れており、駅中心のエリア展開を行っているのが特徴だ。さらに現在、 日本で唯一、列車内での移動公衆無線LANサービスを行っている。鉄道に強いサービスといえるだろう。また、ホットスポットと併設して運用しているポイン トも多い。

BBモバイルポイント(ソフトバンクテレコム提供)

 BBモバイルポイントは、日本マクドナルドの店舗を主力にエリア展開を行っており、北海道から沖縄まで、日本全国の対応店舗で利用できる。ただ し、通信方式は802.11bのみで、ほかのサービスに比べて通信速度が遅い。また、802.1Xやグローバルアドレスの対応といったセキュリティ対策は 現在行っていないが、マクドナルド店舗は比較的見つけやすく、利便性はほかのサービスに比べて高い。

 次回は、使い勝手やセキュリティ面などこれらのサービスの詳細や具体的な違いについて比較していく。


意外と難しい!? 企業ユーザーの公衆無線LAN選び

公衆無線LANサービスはどれも同じ、ではない。それぞれのサービスの傾向や特性の違いをしっかり把握し、自社に最適なサービスを賢く選ぶことが大切だ。

[池田冬彦]

公衆無線LANサービス選びのポイント(1):APのエリア特性

 公衆無線LANサービスを実際に利用するに当たり、注意すべき大きなポイントは2つある。1つは、サービスエリア特性の問題だ。 社員の動線上に無線アクセスポイント(以下、AP)がなければ、ビジネスの効率化にはつながらない。特にホットスポット、MzoneのNTT系事業者は、 主に首都圏を重点的に展開しており、中京、関西を含めたほかの都市部では、まったくAPが見つからないエリアもある。

図1-1 関西の阪神エリアの状況。ホットスポットはAPが1つしかない
図1-2 BBモバイルポイント(マクドナルド店舗)は阪神エリアで多数のAPを展開している

 逆に、全国のマクドナルド店舗を主力にエリアを展開するBBモバイルポイントでは、地方都市を含めてほぼ均等に分散しており、どこに行っても比較的見つけやすい。このような特性の違いも念頭に入れておこう。

図2 Google Mapを使ったモバイルマップで、川崎駅周辺を検索。紫色がホットスポット、青色がMzone、オレンジ色がBBモバイルポイントだ。駅周辺であればどのサービスの利用も可能だが、駅から離れると途端にAPがなくなってしまう

公衆無線LANサービス選びのポイント(2):セキュリティへの対応

 2つ目に重要なポイントは、IEEE 802.1X(※注1)およびVPN利用の可否だ。 公衆無線LANではWEPによる暗号化が標準的だが、セキュリティ強度は決して十分ではない。そこで必要なのがIEEE 802.1X認証である。IEEE 802.1Xでは認証サーバを使って安全にユーザー認証を行い、かつ一定の間隔で暗号キーを変更し、容易にキーを解読できないようにしている。この仕組み は、ホットスポット、Mzoneで採用されている(場所によって利用できない場合もある)。

図3 一般的なWEP方式とIEEE 802.1X(802.1X-WEP)の違い

※注1:有線LAN/無線LANにおけるユーザー認証を一元的に行うための仕組みで、認証サーバとの連携により正規ユーザー以外は ネットワークの利用を阻止できる。また、この認証システム上で、動的な暗号鍵の交換(ダイナミックWEPとも呼ばれる)が提供され、より安全に通信でき る。

 また、VPNについては、SSL VPN(※注2)以外はネットワークの仕組みが根本的に絡んでくる。IPsec(※注3)やPPTP(Point-to-Point Tunneling Protocol ※注4)などによるVPNを安定して利用するためには、利用PCにグローバルIPアドレスが払い出されていることが条件だ。プライベー トアドレスが払い出されるタイプのサービスでは、事業者ネットワーク側ではアドレス変換(NAT)やDHCPサーバを使う。IPsecで通信する場合、 NATがアドレスを書き換える(グローバルアドレス/プライベートアドレス)ので、企業側のIPsecゲートウェイ、またはクライアント側のIPsecク ライアントが「データが改ざんされた」ものとしてIPsecパケットを破棄する恐れがある。またPPTPでは、事業者側が払い出すプライベートアドレス と、ユーザーの接続先ネットワークが払い出すプライベートアドレスが混在し、PPTPトンネルが切断されるなどの問題が生じる可能性が極めて高い。

図4 プライベートアドレスを割り当てるタイプのサービスではIPsec、PPTPのVPNトンネルが維持できない可能性が非常に高い

※注2:Webで使われているSSLの技術を用いてVPN環境を構築する、比較的新しいVPN技術。IPsecよりも運用が容易であり、今後のモバイルアクセスの有力な手段として注目されている。

※注3:現在主流のVPN方式で、そもそもIPネットワークの標準セキュリティ機能として生み出され、暗号技術を使ってIPパケットの完全性や機密性を実現する。

※注4:Windowsクライアントにも標準搭載されているVPN方式で、比較的実装が容易な点が特徴、。PPTPサーバと組み合わせてVPNトンネルによる通信が可能だが、セキュリティ強度はIPsecやSSL VPNよりは劣る。

 現在、グローバルアドレスに対応し、ユーザーがVPNを利用できることを正式にうたっているのはホットスポットのみだ。Mzoneの場合、APに よってはプライベートアドレスが払い出されているところがある。ちなみに、Mzoneを提供するNTTドコモではVPNの対応は現時点で表明しておらず、 「VPN利用については、お客様の責任において利用してもらっている状況」(NTTドコモ広報部)ということである。なお、BBモバイルポイントは一部を 除いてグローバルアドレスの払い出しには対応しておらず、IPsecやPPTPの利用は極めて難しい。自社のVPN機器で実際に利用できるかどうかは、各 事業者の1日のみの随時契約プランを利用し、事前に確認しておこう。

どれが「本命」? 公衆無線LANサービスを比べると…

ホットスポット


事業者 NTTコミュニケーションズ
月額固定料金 1680円/月
一時利用 可能(500円/日)
アクセスポイント数 約4000
ローミング BBモバイルポイント(定額:819円/月、スポット利用:315円/日)、海外
通信方式 IEEE 802.11a/b/g(場所によって利用可能な方式が異なる場合がある)
セキュリティ IEEE 802.1X、VPN対応(場所によって未対応の場合がある)
利用できる主な場所 カフェ・ファストフード店(タリーズ、プロント、モスバーガー、カフェドクリエなど)、レストラン(東京都内のガスト主要店 舗など)、駅(東京メトロ、都営地下鉄、JR西日本・JR四国主要駅、福岡市営地下鉄主要駅)、NEXCO西日本管内の主要サービスエリア、空港(羽田・ 成田など全国41主要空港)、主要なホテル、主に関東の主要図書館、一部のコンベンションホール・ビルなど

 802.1X認証やグローバルアドレスによるVPNにも対応し、通信方式も802.11gが主流だ。2002年より有償サービスを提供し、47都 道府県にAPが設置されているが、大都市・人口密集地を中心に列車や飛行機などで移動するビジネスマン向きである一方、車で移動するユーザーにはやや不向 きだ。

 なお、BBモバイルポイントとのローミングサービスも提供しており、契約無しでBBモバイルポイントも利用できる。この場合、24時間単位で 315円が加算される。また、819円の月額料金を払えば、どちらも常に利用可能になる。ただし、BBモバイルポイントの月額料金(Yahoo! JAPANでは525円)よりも高くなるので、個別に契約した方が安価だ。さらに、GBRS(Global Broadband Roaming Service)のローミングサービスに対応しており、iPassなどを使えば世界60カ国以上でワイヤレス、またはイーサネットによる接続も可能だ。

Mzone


事業者 NTTドコモ
月額固定料金 1575円/月(FOMA利用者は840円/月)
一時利用 可能(525円/日)
アクセスポイント数 約5000
ローミング BBモバイルポイント(スポット利用:315円/日)、エアポートネット(成田空港:利用料金は無料)、海外
通信方式 IEEE 802.11a/b/g(場所によって利用可能な方式が異なる場合がある)
セキュリティ IEEE 802.1X対応(場所によって未対応の場合がある)
利用できる主な場所 カフェ・ファストフード店(タリーズコーヒー、プロント、ロッテリア、ファーストキッチン、ケンタッキーフライドチキンな ど)、駅(東京メトロ、都営地下鉄、JR北海道/東海/西日本/四国主要駅、西武鉄道、多摩モノレール、京浜急行、京王帝都、東急電鉄、東武鉄道、ゆりか もめ、近畿日本鉄道、京阪電鉄、南海電鉄、伊予鉄道、高松琴平電鉄、えちぜん鉄道の各主要駅)、首都高速の主要パーキングエリア、空港(羽田・成田など全 国主要空港)、主要なホテル、商業施設など

 通信方式は802.11gが主流で802.1X認証にも対応するが、APによって利用できない場合もある。また、グローバルアドレスによるVPNアクセスについても、対応APと非対応APがあり、対応がまちまちだ。

 エリア展開については、JR各社、東京、大阪を中心に私鉄各社との提携に力を入れており、駅中心のエリア展開を行っているのが特徴だ。さらに、現 在日本で唯一、列車内での移動公衆無線LANサービスを行っている。また、タリーズコーヒーやプロントなど、ホットスポットと併設して運用しているポイン トも多い。

 また、ホットスポットと同様にBBモバイルポイントとのローミングサービスを提供している。ただし、契約無しのスポット利用(24時間ごとに 315円が課金)のみだ。さらに、iPassやドイツテレコム、テリアソネラ、シングテル社のサービスを使って海外からアクセスすることも可能である。

BBモバイルポイント


事業者 ソフトバンクモバイル
月額固定料金 プロバイダーによって料金が異なる(Yahoo! JAPANの場合525円/月)
一時利用 可能(500円/日、1000円/2週間、4000円/3カ月)
アクセスポイント数 約3500
ローミング なし
通信方式 IEEE 802.1b
セキュリティ WEPのみ
利用できる主な場所 カフェ・ファストフード店(マクドナルド、ルノアール、ドトールコーヒーなど)、駅(JR東海/東日本/西日本の各主要駅)、空港(羽田・成田など全国主要空港)、一部のホテル、図書館など

 日本マクドナルドの店舗を主力にエリア展開を行っており、北海道から沖縄まで、日本全国の対応店舗で利用できる。通信方式は802.11bのみ で、ほかのサービスに比べて通信速度が遅い。また、802.1X認証やグローバルアドレスの対応は行っていないが、地方都市でも利用できるのが強みだ。店 舗は比較的見つけやすく、主要道路沿いにも店舗があるため車で移動するユーザーにも利用しやすいメリットがある。また、ルノアールやドトールコーヒーなど のカフェ、JR東日本の主要駅、JR西日本の新幹線駅、空港での利用も可能だ。

 なお、BBモバイルポイントはホールセール事業者という位置付けであり、申し込みはYahoo! Japanや、Yahoo! BB、@niftyなどの提携プロバイダーを通じて行う。Yahoo! Japanから申し込む場合は、Yahoo! Japan IDの取得とYahoo!ウォレットという決済サービスの申し込みが必要だが、最も料金が安い。

総括

 3つのサービスを詳細に見てきたが、速度、セキュリティと面で最も充実しているのがホットスポットだ。もし、社員の動線上でホットスポットが利用 できるなら、無線LANならではの高速性を生かしたさまざまなIT活用が、セキュアな環境で実現するはずだ。しかし、ホットスポットはサービスエリア面で やや偏りが大きく、首都圏以外のエリアには弱い。

 ホットスポットがうまくユーザーの動線に懸からないのなら、Mzoneが有力候補として考えられるだろう。特に地方都市ではホットスポットよりも 利用可能な場所が多く、私鉄を含めた多数の駅で利用できるのが魅力だ。ただし、セキュリティ対策ではIPsecやPPTPの利用は保証できないので、 SSL VPNの利用をメインで考えたい。

 一方、BBモバイルポイントは地方に強いサービスだ。このメリットを最優先させたいのなら、唯一の選択肢といえるだろう。ただし、通信速度が遅 く、セキュリティも十分ではない。SSL VPNやWebメールの利用を主とし、比較的軽いデータのやりとりにとどめた運用が向いている。

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