Tuesday, January 13, 2009

株式の「リスクプレミアム」は5%なのか

http://diamond.jp/series/yamazaki_econo/10044/

なるほど、過去30年の平均投資で見ているのか、5%って。
但し、私はほかの記事で8%と強気の記事も見てた。やはり賛否両論なものか。。。

山崎元のマネー経済の歩き方

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山崎 元(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員)

【第44回】 2008年08月05日
株式の「リスクプレミアム」は5%なのか

 投資家およびファイナンス研究者は「株式のリスクプレミアム」がいくらなのか、切に知りたいと思っている。リスクプレミアムとは、投資のリスクを負担することに対して得られる追加的な収益率を指す。リスクフリー(無リスク)金利は、日本ではコールレート、米国の場合財務省短期証券3ヵ月物の金利が挙げられることが多い。

 株式のリスクプレミアムの真の値がわかるか直接計測できると、投資の研究も、投資計画を立てるのも大いに楽になるのだが、残念ながら決定的な方法はない。

 過去の長い期間の(たとえば数十年間)実際の株式の収益率とリスクフリー金利を比較して平均を求めても、過去と将来の市場環境や投資家の考え方が同じとは限らないから、これが目下のリスクプレミアムであるとはいえない。

 2000年に崩壊した、いわゆるネットバブルの頃には、上昇した米国のPER(株価収益率)と辻褄が合うように、リスクプレミアムが今まで考えられていたよりも低いのだという考え方が台頭した。それまでは、株式市場全体の平均的なリスクプレミアムは5%から6%くらいではないかという人が多かったのだが、この頃は、2%か3%程度だという考え方の支持者が増えた。その後、ネットバブルが崩壊して米国の株価とPERが低下するとともに、「2~3%派」の数は減ったようだ。

 リスクプレミアムは、ある意味では投資家の頭の中にあるものだ。「それなら、直接聞いてみよう」というアプローチが考えうる。米国ブラウン大学のウェルチという先生が、米国内外のファイナンスないしは経済学の先生数百人を対象に、ネットでアンケートを行なった。
 
 結果を見ると、07年末の時点で、1年間の株式のリスクプレミアム(リスクフリー資産は財務省短期証券3ヵ月物とする)について、先生たちの平均値はほぼ 5%だった(米国の先生たちの数字がやや高く、米国以外の回答者の数字がやや低い)。ただし、これらの先生たちが教室で生徒に教えるときに使う数字は平均 6%程度と、やや高いものを使っているらしい。

 日本の機関投資家が投資計画を立てるときに使う株式のリスクプレミアムの数字は、厳密に計測したわけではないが、5%から6%くらいであることが多い。

 筆者が、個人向けの資産運用の説明で使う数字も5%だ。ただし、筆者のイメージとしては、株式そのもののリスクプレミアムは6%で、現実に投資する際にかかる手数料などのコストを1%程度見込んで(実際にはもっと抑えたいが)、保守的な数字として5%を使っているつもりだ。

 具体的には、リスクプレミアムが5%と推計されるなら「株価はやや高い」、7%と推計されるなら「株価はやや低い」というくらいに考えることにしている。

 6%という数字に絶対的な根拠はないが、落ち着きのいいレベルだと感じている。強いて手がかりを挙げると、かつて勤めたことがある株式ポートフォリオの分析ソフトウエアを持つコンサルティング会社で暗黙のうちに使っていた値が6%であった。また年金積立金管理運用独立行政法人の調査によると、日本以外の主要先進国の株式の過去30数年間のリスクプレミアム実績はほぼ6%であった。

 読者は、リスクプレミアムが5%だとして、株式投資を魅力と感じるだろうか。上下に大きく振れるのに小さいと思う人も、十分魅力的だと思う人もいるだろう。だからこそ、目下このあたりが落ち着きどころになっているのだろう。

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